【第170号】今どきの新入社員

1. 優等生であることは悪くないが

 先日、新潟で新入社員を対象としたセミナーが終了した。参加者を講師という立場からみた感想を幾つか紹介したい。
 全般的には皆さん、優秀である。グループ討議もしっかりと時間内に終了させるし、接遇のロールプレイングや電話応対、ビジネスメモも問題なくこなす方が多かった。しっかりと「なぜそうするのか」という目的や理由を説明すると、ルールを守れる。
 グループ討議の発表資料作成も、「自分たちのグループの討議結果として何が言いたいのか伝わるように」と指示をすると、模造紙にまとめる際に色分けをしたり、ふき出しなどを活用して強調したりすることも工夫していた。
 禅寺での開催であったが、寺でのルールにも「辛い」といいつつも、座禅や作務などにも積極的に取り組んでいた姿は新鮮であった。

2. はみ出ることも必要

 さらに上を目指すなら、議論を膨らますための質問だったり、アドバイスがもっと積極的にできるようになるといい。グループ討議の発表も、もっと感想や素朴な質問(表現やまとめ方についてでも構わない)があってもいい。
 私たちコーディネーターや事務局は、参加者にとってはずっと先輩にあたる。なかなか積極的に質問するのは難しいのかもしれないが、疑問を解決するために活発に質問することがあってもいい。
 言われたことやテキストに書かれたを「当たり前」だと受け止めるだけでなく、何故、そうするのだろう、何故そういう決まりなのだろう、という疑問を持つともっと良くなる。疑問を持つことが、「目的とは」を考えることにつながり、適切な対応をとる第一歩となる。

3. 求められるコミュニケーション能力は課題

 コミュニケーションについては、まだ課題が残る。個別に質問するといろいろと良い意見を持っているのだが、グループ討議という場面ではなかなか発言が出てこない。難しい言葉について、理解していないのに、質問することをためらってしまう(わからないことに気づいていない場合もあるが)。
 自己PRゲームでは、本人もうまくPRできなかったし、周りの人を覚えることもできていなかった。そういう場面が少ないというのもあるが、自分の特徴をどう伝えるか(見た目以外で)、他人の特徴をどう把握するか(質問するなどして)という能力が課題となる。見た目(外観)だけでしか判断できないとなると、勘違いや見込み違いが増えることになる。先輩社員も新入社員へ積極的に声がけし、気にかけていることを伝えて欲しい。