【第167号】いつかは自分に返ってくる

1. 自分では気づいていない

 人の悪口や陰口というのは、人間が感情の動物である以上、言いたくなるものである。しかし、これを無意識に続けているのは感心しない。人の悪口を言う人は、また人に悪口をよく言われる人でもある。人の悪口をめったに言わない人は、あまり人から悪口を言われることがない。不思議なものである。
 そして、悪口、陰口を言う人に限って、人から言われていることに気づかない。この現象は悪口に限らない。ついこの間まで、慕っていた人より自分に得になる人が現れると、途端にそれまでの態度を変えて、「あんな人は仕事ができないから、付き合えない」なんて言い出したりする。本人からすれば、当たり前なのかもしれないが、周囲からすると節操がない姿勢に見える。それを見ていると、「自分も影では悪口を言われているんだな」とか「今はいいこと言っているけど、いつかは手のひらを返すんだな」とさめた目で見てしまう。

2. 直接言えないことは言わない

 基本的に、本人にストレートに指摘できないことは言わないことである。若手社員が社長に物申すなんてことはできないにしても、同僚や先輩に対しては、言い方さえ適切であれば、言うことはできるはずである。
 また、普段からしっかりとコミュニケーションを取って、お互いの仕事内容ややり方を認め合っていれば、トラブルにならないはずである。「あいつの仕事はいい加減」「彼女の仕事は信用ならない」なんて思いながら、チームで仕事をしていても、いい結果にはならない。ましてや、言うべきことをストレートに言わず、第三者経由で伝言のような形で伝えたら、それを聞いた側はどう思うか。信用されていないんだな、と思わないだろうか。

3. 人を判断するモノサシは

 人を判断する「モノサシ」はなんだろうか。人間関係をスムーズにできる人は、やはり相手のことを思う気持ち、相手の「利」を思う気持ちが強い人である。逆に、波風を立ててしまう人は、自分の「利」が中心の人である。
 相手の気持ちに思いをはせ、相手中心で考え行動できる人に人は魅力を感じる。そしてその人の力になろう、その人の話を聞いてみよう、となる。
 肩書きや地位だけで人は判断する人は、自分の「利」が中心になっている。相手の人間としての魅力や得意分野などをしっかりと見極めようとしているか。相手の力になろうとしているか。
 最近の風潮として、どうも「自分中心」の言動が見られる人が増えてきている。もう一度自分の人を見る目を反省してみる必要がある。