【第166号】戦う相手を知る

1. 誰と戦っているのか

 ここ数日、様々な企業の来期の戦略を策定するお手伝いをしていてあることを感じている。それは、自分たちが誰と戦っているのか、という知っていて当たり前の部分が意外と把握できていなかったりすることである。
 誰と戦っているのか。ライバル会社名はわかっている。しかし、その会社の強みや弱み、人員体制や得意分野、収益性などの情報収集も「このくらいだろう」で留まっている。これでは、戦い方が正しい方が奇跡である。市場の大きさを把握できていなくても、ライバル会社がつかめていて、その企業の売上を調べ、店舗数を把握できれば、1店舗当りの売上を予測し、エリア全体の売上を推測することはできる。そうすれば、シェアもつかむことができる。従業員数がわかっていれば、一人当たりの売上高の比較もできる。

2. 何で戦っているのか

 わが社の特徴は何なのか。そして、お客様に支持されているのは、どの点なのか。ここも重要なポイントである。この点も普段、あまり意識されていない点である。
 各社で議論してもらうと、本当にいろいろな意見が出てくる。いろいろな意見が出てくるというのは、良いことなのだが、それだけしっかりと把握されていない、ということでもある。世の中が変化しているということは、お客様の要望も変わってきているということである。それなのに、自分たちの“ウリ”がずっと変わらないということで良いのか。あるいは、求められているものが変わってきていないのか。ライバルの攻め方が変わってきていないのか、をしっかりと把握しておくことが必要なのである。
 そうすると、なぜ売上が減少しているのか、増加しているのか、なぜ利益が減少しているのか、増加しているのかが、理解できてくる。

3. 強み、弱みの把握は十分か

 戦略を作る上で重要なのは、自分たちの強みや弱みを「正しく」把握することである。ここも10年前から強みは変わらない、ではないはずである。「10年前の強みはここにあった。今も同じところにあるのか」からスタートである。
 社員も変わってきている。取り扱い商品も変わってきた。当然、お客様のニーズも、お客様自身も変化してきている。つまりわが社を取り巻く環境すべてが変化してきている。その中で、わが社の強みだけが変わらずにあり続けられるのか。そのための努力を継続的にしてきているのか。強みがいつの間にか弱みに変わっていたり、強みと言えなくなっていることは多い。議論が終わって、ショックを受けることも多々ある。
 これまでの延長線上で戦略を作らず、見直す機会を設けることが需要である。