【第165号】無くて七癖

1. 人も企業も「クセ」がある

 人間にはよく「無くて七癖」と言われる。“法人”とはよく言ったもので、企業にも人格があり、「クセ」がある。それが企業の持つ雰囲気である。
 社員それぞれがクセを持っている。個性と言われる部分であるが、これをうまく生かさないとチームとして成り立たない。個性は排他的になりやすく、周囲と馴染まないものも多い。個人としては武器になっても、チームとしては弱みにもなる。
 企業の持つクセは、消費者からの評価につながる。「あの会社はだらしないね」「あの会社は元気があるね」「あの会社は地味だね」というような評価である。
 人間は弱きに流れる。楽な方に流れる。部下は上司の悪いところを真似る。実行が難しいこと、これまでと違うことはなかなかやらない。これが伝播して、多くの社員が行う共通点となり、会社の持つクセになる。

2. 悪しき習慣から脱するために

 これが「クイックレスポンス」だったり「礼儀正しい対応」などの良いクセ(習慣)だったら問題ないが、「対応の遅さ」「ミスの多さ」などの悪いクセであると大変なことになる。
 悪い習慣から脱するためには、どうすれば良いか。まず、それが「当たり前」だと思ってあきらめている現状から脱しなければならない。「当たり前」ではないのである。ある業績の低迷に悩んでいる企業にコンサルティングに入った時、業績関連資料を見てその会社の役員に筆者がこう指摘した。「製造業で、経常利益が2%とか3%とかいうのは、どこかにムダがあるからですよ。汎用品を大量に生産している企業ではないのだから、10%は取らないと」。これに対して、その役員は「竹島さんは、この業界の常識を知らないから、そう言えるんですよ」
 2年コンサルティングして、業界の常識を排除したら、今では、経常利益8%の企業になっている。

3. 企業風土を変える

 まずは、これまでの「当たり前」を無くしていく。「ライバルもこのぐらいの価格でやっている」「協力会社もこのぐらいでやっている」いずれも、失敗したときの言い訳でしかない。言いづらいこと、頼みづらいこと、やりづらいことを実践していかなければ、変化は生まれない。
 毎日、自分を追い込んで実践していくのは確かに辛い。しかし、他人に言われて、実践するのは、もっと辛い。自分で「やらなければ」と思い、やり抜いていくことに意味がある。幹部社員から意識を変え、その変化した価値観で部下指導をしていく。上司の行動が変われば部下の行動も変わっていく。