【第163号】日常の部下指導育成

1. 部下の言い分を聞いてみる

 昨年入った新入社員もそろそろ1年生を卒業するころ。次の新入社員を受け入れる体制づくりにも入る必要がある。そんな中で、新人の成長は満足がいく状況であろうか。
 若手社員の言い分を聞く機会も多いので、内容をまとめてみると、上司や教育担当者、現場の育成担当者などが十分に新人や若手の話を聞けていないことが多い。「言い訳しないでやれ」となっていないだろうか。確かに最初の方の言い分だけを聞いていると言っていることは「言い訳」である。しかし、じっくりと聞くと、それなりに考えていることも多い(経験がない分、浅はかである面は否めないが)。上司の「言い訳はいいからやれ」よりは、ロジカルだったりもする。
 会社の歴史や文化、顧客先についての知識が乏しいことから来る誤解が多いのである。それを頭ごなしに「言い訳が多い」「素直でない」と受け取ると、本人もますます反抗するようになる。

2. 現実を直視させる

 まずは、現実を直視させることが重要である。新人や若手はまだ十分な戦力となっていないことが多い。つまり、メンバーに扶養されている状態である。メンバーのお世話になっていることの自覚をさせないと、いつまでも甘えることになる。
 言い訳が多いのは、ここの意識が低いことが多い。「一生懸命やっているのに、なんで怒られるのか」「なんで認めてくれないのか」になる。どこまでを期待しているのか、その期待はどのように変化していくのか(しているのか)、をしっかりと説明する必要がある。入社したばかりのころと、半年後と1年後では期待値が違う。それを曖昧にしないことである。

3. 寄り添い方

 今の若手は、積極的に相談できるタイプではない方が多い。こちらから、相談できる場、話し合える場を作る必要がある。朝夕のわずかな時間での打ち合わせ、数ヶ月に1回の飲み会でも良い(ただ、宴会の席で、逆に説教の場にしては意味がない)。話しを聞いてあげて、その誤解を解いてあげる。そして危機感を持たせながら、しっかりと目標を確認していく。恥をかくことを恐れるので、初めてトライすることは十分に打ち合わせ、また失敗しても責めない。
 孤独にさせない、孤立させないことが必要となる。最近は大量採用するところも少なく、同期入社がいないことも多い。同じ境遇をわかってくれる先輩も身近にいない。上司はガミガミと怒るばかり。これでは、部下が育つはずがない。どこまで「自覚」させるかが勝負である。