【第157号】技術の革新とアイデアの革新

1. 開発力

 新しい商品やサービスを開発していく力は、ひとつには技術の進歩が支えていくことになる。ここ最近のIT関連(スマートフォンに見られるように)の技術革新はビジネススタイルを大きく変えつつある。あるいはバイオ関連(iPS細胞や微生物を使ったビジネスなど)、環境関連(クリーンエネルギーなど)における技術革新も新たなビジネスを生みつつある。
 もうひとつは、アイデアである。もっと便利にならないかな、もっと楽チンにならないかな、という顧客の要望から生まれる。昨年大ヒットした機能性メガネやお掃除ロボット、機能性ヨーグルト、無料通話アプリなどもそのひとつといえる。
 それらを会社の仕組みとしてどのように確立するのか。まずは、開発担当者の意識レベルの向上と意思決定のスピードアップが欠かせない。

2. 発想力

 新しいアイデアをどのように生んでいくのか。それは現場(使用される場所、販売される場所)にしかない。
 「そんなのだめだ」「何度言ったらわかるんだ」などと開発担当者を萎縮されるようなところからは、アイデアは生まれてこない。「言われた通りにやっていればいいんだ」となってしまう。
 開発担当者も常に時代の流れにアンテナを張っていなければならない。顧客のニーズは際限がないが、正しく把握することが難しい。個人の情報発信力が高まったとはいえ、サイレントカスタマーに属する顧客が圧倒的に多いからだ。開発担当者は常に「使用者」目線で自社製品、サービスを見なければならない。自分の作ったものの出来に自己満足して終わることは避けたい。

3. 提供力

 そして、最後はそれをどう提供していくか、である。素晴らしいものを思いついても、作ることができない、実現することができない、提供することができない、では情けない。顧客に認知してもらうことは当然だが、それを欲しい、と思わせ、体験したい、手にしたいと感じさせなければならない。
 最近、電子書籍を購入するようになったが、これは、「早い、安い、軽い」の三拍子が揃ったビジネスモデルである。思いついたらすぐに購入でき、手元の端末に届く。値段も紙媒体より安い。そして、何冊分であっても端末1つで済む。一度、体験してしまうとこの便利さから抜け出るのは難しいのである。
 顧客価値をどのように定義付け、新たな商品・サービスにつなげていくか。もう一度、体制・意識の見直しが必要である。