【第105号】体力と体質

1. 体力と体質をいっしょにするな

 「企業が良くなる」と言っても様々な現象がある。業績が回復する、利益が出るようなる、社員が活き活きしていくる、など。ただ、多くの場合は、表面的な利益の部分を指している。危ないのは、この時に「体質」まで、改善したと“錯覚”することである。
 業績が回復する時は、多くの場合、企業努力によることが多いが、今年の夏のような節電、現状の幾つかある東北の企業のような復興需要による回復など、外部環境によるものも少なくない。企業努力による場合は、体質の改善も同時に行われているケースもあるが(収益構造自体が変わったために、利益が上がるようになった場合など)、外部環境が主の原因の場合は、体質改善が進んでいない。業績が回復して「良かった、良かった」と浮かれていると、外部環境が元に戻ったときに足元をすくわれることになる。

2. 体力を回復・強化する

 体力を回復させるためには、収益構造を変えることが重要である。赤字事業からの撤退を決断し、足を引っ張っているものをなくしていく。利益率が低下している事業については、ビジネスモデルの再構築を検討する。また、社内の事務処理のあり方も見直す。安易な値決めや仕入れ先との関係などにもメスを入れる。
 体力の回復には、一時的に社内に負荷をかける場合もある。これまでの遅れやモレを短期間に取り戻す必要があるからだ。正しい姿に戻すには、社内の抵抗も発生する。人間、一度楽な方に振れると、なかなか元に戻らない。
 そしてそれを一時的なものにせず、恒常的なものへと変えていく。そのためには次に体質の改善が必要となってくる。

3. 体質を改善・強化する

 多くの企業が体力の回復に留まってしまうことが多いのは、体質改善の方が難しいからである。教育や人事制度など幾つかの手を複数、同時に打つ必要がある。
 最近、モラールサーベイを実施してみて、多くの企業でこの「体質」が悪化していることが気にかかる。これでは、この厳しい時期に一生懸命働いてくれている社員が救われない。体力が回復して業績が良くなっても、潤うのは会社だけで、社員はちっとも幸せになれない、という状況が起きてしまう。
 体質が悪化している企業の共通点は、「コミュニケーションの量が少ない」「責任の所在が曖昧」「会社・自社の製品やサービスに誇りが持てない」などがある。これらを仕組みをつくることで解決していく。若手社員の経営参画意識の向上や、信賞必罰が鍵となってくる。