【第98号】会社行事はトップの意思

1. 社員教育

 中小・零細企業において、様々な社員教育のプログラムやカリキュラムを提案させていただくことがあるが、たまに「みんなの意見を聞いてから判断します」という回答をトップからもらうことがある。この場合、本当にみんなの意見を参考として聞いて、トップが判断する場合と、意見を聞いても判断できないケースの両方がある(もちろん、誰の意見も聞かずに判断される場合もある)。判断できないケースは、多くの場合社員教育に留まらない。全ての場合において、判断できないのである。優柔不断型の経営者である。
 会社行事はトップの意思を表す。数値計画と同じである。こういうことを実施したい、こういうことを実現したい、ということがあって社内行事が決定していく。社員教育も同様に、計画的に実施していくことが重要であり、そこにトップの意思が反映される。どの層を強化していくのか、どのように強化していくのか。

2. 福利厚生

 福利厚生も同様である。休日の位置づけをどうするのか。社員に気持ちよく、健康に働いてもらうためにはどうしたらよいのか。日頃、社員を支えてくれている家族にどのように感謝したらよいのか。トップとして考えなくてはいけないことは山のようにある。これらにどのように対処するのかを明らかにしなければならない。
 社員の生活支援が必要なら、それも考慮しなければならない。資産形成のサポートをしてあげる必要があるならそれも検討しなければならない。トップの意思であり、会社としての姿勢でもある。
 育児支援や介護支援なども同様である。法律で定められた最低限だけでなく、会社としてどんな制度を検討しておく必要があるのか。明らかにしておく。

3. 意思決定システム

 会議、ミーティングの予定も同様である。思いついた時の会議、日程が不確定な会議などは“決められない会議”になっている可能性が高い。意思決定が行われない会議は、行っても不毛となり、出る目的を失う。これが出席率の低下を招き、更に決められない会議となる。この負のスバイラルから脱するためには、年間スケジュールの中に会議日程を組み込み、欠席を許さない仕組みが必要である。これも会社、トップの意思である。
 会議の生産性が落ちてくると、意思決定のスピードが低下し、社内の改善が遅れる。業績対策も遅れるようになり、売上や利益の低迷につながる。規律が乱れることにより、モラールも低下し、全体的な沈滞ムードとなってしまう。
 会社行事はそのままトップの考え方を表す。是非、チェックをしていただきたい。