【第97号】正しい仕事での姿勢

1. 本当にお客様を愛せるか

 タナベ経営の経営理念には、「・・・企業を愛し 企業とともに歩み、企業繁栄に奉仕する・・・」という一節がある。今の自分は本当に企業を愛せているか、ということを常に自問自答している。それが自分の発言に大きく影響してくるからである。
 本当にお客様のことを愛せているからこそ、耳の痛いことも言える、熱心に営業することができる。人は自分の思う通りにならないと、どうしても他人のせいにしてしまう。「こんなにわかりやすく説明しているのに、どうしてわからないのか」「こんなに一生懸命努力しているのに、何故評価してくれないのか」そして、いずれも「自分は悪くない」となってしまう。
 本当にお客様を愛していれば、共に歩もうと思っていれば、他人(つまりお客様)からどう思われようと関係ない。どう見られようと関係ない。自分が信じるままに、これがベストだと思って提案、発言、行動をする。

2. 裏表のない態度とは

 「あの担当者は堅物だ」「いつも担当される部長は苦手だ」というレベルであればいいが、肉体的欠陥やあだ名で取引先の担当者を呼ぶ営業マンを見かける。こういう営業マンは優秀なセールスマンにはなれない。そういう心で営業をしていると、そういう思いが顔に出て、必ず先方にわかってしまう。担当クラスだけ話をしているうちは挽回のチャンスもあるが、担当役員、経営者と話をする段になると、相手は多くの営業マンを見てきている。すぐに化けの皮が剥がれる。
 いつも見られている、という意識で行動できるようになることが大切である。聖人君子にはなれないが、誠実な担当者にはなれる。ケジメを付けて行動することが必要である。スーツを着て、ネクタイをしているときの付き合い。私服でプライベートな付き合い。ビジネスにはいろいろな付き合いがあると思うが、TPOをわきまえておきたい。

3. 隠せないもの

 普段から自分の姿勢を振り返ることである。自分は本当に相手のことを思って言っているのか、行動しているのか。前にも述べた通り、心の中にある思いは隠せない。少しでもバカにした気持ちがあると、どんな褒め言葉も上滑りする。
 中にはどうしても愛せない、尊敬できない、という取引先も出てこよう。それでも愛する努力をする。できなければ、厳しくそれを指摘することである。好きになれないのだから、好かれる必要もないと思えばいい。厳しく指摘して、変わってくれたらラッキーである。相思相愛になれるかもしれない。