【第96号】嫌なことから片付ける習慣

1. あとでやろうと思うこと

 仕事の多くは、計画通りには進まない。突発的に発生する仕事も当然ある。問題は、その仕事をいつ済ませるか、である。それが仕事の速い人と遅い人の差になってくる。
 仕事が発生したときに、「今、やってしまおう」「今日中に片付けてしまおう」と思う人と、「後でやろう」「今日は予定が詰まっているから、明日やろう」と思う人がいる。それがその差の分かれ目である。面倒な仕事ほど取り組むタイミングが早い。面倒の度合いの判断と所要時間の判断が早いのである。
 つまり、前者は発生した仕事にかかる時間をしっかりと予測できている。正確でなくても、予測する習慣がついている。やるという決断ができる。後者はそれをしようとしない。それで、後でやろう、ということになる。やってみると5分で終わった、早くやっておけば良かった、なんてことになる。

2. 仕事の棚卸

 仕事が速い人は、常に自分がすべきことを把握している。いわゆる「to do リスト」が出来上がっている。これも、どのタイミングで作成し、どのタイミングでチェックするかが、習慣となっていないとダメである。
 筆者は3冊の手帳を使い分けて仕事を管理しているが、ひとつはコンサルティングに関わるリスト、もうひとつは日常業務に関わるリスト、最後は個人的な(例えば、自己啓発に関することなど)リストである。記入は発生時に随時行っていくが、リストのチェックは毎朝、起きたらすぐ行うことにしている。ここでチェックして今日は何をするのか、優先順位は何をするのかを確認している。こうすることで、仕事の遅れ・モレを無くすようにしている。

3. スピード感とは

 仕事のスピード感はいっしょに仕事をしているとすぐにわかる。早い人は、不明点の確認も早いし、指示に対する反応も早い。「了解しました」の返事や「わかりました」の返事、何かの調査を依頼した場合でも「依頼しておきました」という返事が早い。確認事項があった場合でも、休憩時間の間に済ませてしまうことも多い。携帯電話、内線電話をフル活用である。
 逆に仕事の遅い人は、その反応自体が遅い。聞かないと報告がない。だからワンテンポずつ仕事が遅れていく。
 仕事は単発仕事ではなく、いくつもの仕事が平行していく。その中でのモレやヌケは仕事のスピードを遅らすだけでなく、そのモレ・ヌケの挽回のための2重仕事が発生する。 それが嫌な仕事というイメージに結びつく。だから嫌な仕事は先に片付けるに限る。