【第84号】社内の伝言ゲームを防ぐには

1. 当事者の話をじっくり聞く

 報告・連絡・相談に関する悩みはあちらこちらで聞く。実施されない、理解されない、中身が伴わないなど。その中のひとつが、この「社内の伝言ゲーム化」である。発信者の意図と違う内容で伝わってしまう現象である。「そんなつもりで言ったのではないのに」とあとで訂正に追われることになる。何故、こうなってしまうのか。
 これは、発信者の話を報告を聞いている人間が、じっくりと聞いていないことにある。中間の管理職しかり、最終決定者しかり。営業所の営業担当者の報告を営業所長がしっかりと聞いていない、担当役員が聞いていない、という場合である。聞く側の姿勢がしっかりしていないとダメである。人間、自分に都合の悪いことは聞きたくない。進めていた商談がうまくいっていない、クレームになりそうである、目標が未達になりそうであるなど、耳に入れたくない情報を都合のいいように解釈して処理する。商談は苦労しているがまだ可能性がある、クレームの寸前でとまっている、目標はギリギリなんとかなりそうである・・・

2. 中間管理職の利害を把握する

 ゆがみを予測したり、修正したりするには、報告を聞く中間管理職の利害を最終決定者は把握しておく必要がある。どのようにバイアスがかかりそうなのかを読むのである。また、常に「ダブっても報告する」習慣を組織の中につけておく。
 営業担当者は営業リーダーと営業所長に報告する。営業所長は、担当役員と社長に報告する、という仕組みである。
 最終決定者は、疑問を感じたら担当者に話を聞くことを躊躇ってはいけない。営業所長や担当役員などに遠慮する必要はない。人間誰しも間違うし、勘違いすることもある。故意でなければ問題としない姿勢も重要である。 

3. 雰囲気づくり

 自由に意見が言える風土とは、何でも聞いてくれる風土である。ほとんどの場合、言わない側の問題より、報告される側、聞く側の問題の方が大きい。
 「言っても自分の仕事が増えるだけ」「自分が悪者にされるだけ」「相談すると誰かに迷惑がかかる」などを理由に口をつぐんでしまう部下は多い。彼らは良かれと思って、報告を躊躇っているのである。
 これらについて、部下を責めても始まらない。そういう雰囲気にしている管理職に問題がある。常に、管理職に部下の相談に快く応じるように指導しておく。社外、社内の利害関係が複雑になると、特に報告の内容はそれぞれの関係者の都合の悪い部分がぼやけて報告される。その時に、その組織の風土が問われる。