【第74号】今、求められる人材

1.不可能を可能にするの逆は?

 震災発生から1ヶ月が経過したが、復興への道筋はまだまだ見えてこない。限られた人材や資材など、すでに偏在するようになってきている。調達能力の乏しい中小零細企業は仕事があるのに、その仕事ができない状況が発生し始めている。
 先日、仙台市内に行ってきたが、まだまだコンビニの棚はガラガラだし、飲食店も限定メニューだったり、営業時間が短縮されている。お客様もまばらで、街全体の活気が消えてしまっている。生活している人々も、精神的な疲労が溜まってきているようだ。最大の余震が発生した時は、「もう、ヤダ」のメールが飛び交った(筆者の携帯にも仙台在住だった何名からか同様のメールが来た)。
 不可能を可能にするとは、どういうことか。みんなが「どうせできない」と思うことを、それまでの常識にとらわれずにやり遂げてしまうことである。壁を突破すること、ともいえる。その逆は、可能なはずなのに、自分で壁を設けて不可能にしてしまうことである。

2.思考停止は「攻め」だけではない

 それは何からくるのか。それは、「そんなことは発生しない」という一種の思考停止からくる。何か新しいことをやろうとする際の「攻め」の部分における“思考停止”だけでなく、予期しないことが起きたときに「守り」の部分においても発生する。
 世の中には「絶対」なんてことはない、という前提が忘れられてしまっていることが多い。特に、失敗が発生することが許されないとされる「公共機関」などでは、逆になっている。大きな事故は、その思考停止が原因となってしまう。小さな事故で終わることが、思考停止による壁により、大きな事故になってしまうのである。

3.仮説と検証の繰り返し

 今回の震災では、津波にしても放射能の問題にしても何れも「そんなことは発生しない」という思考停止が被害を大きくしている。また、企業における復興、復旧を遅らせるのも、同様である。
 リスクマネジメントは、起るはずのない「そんなこと」をどれだけ正しく想定できるかにかかっている。その視点なり、発想は、「仮説と検証」の繰り返しからしか生まれてこない。これまでコラムで何度も触れてきているが、“考える力”が必要なのは、こういうことからも言える。柔軟な発想で、こんなことが想定される、というものが多くでてくると、リスクのマネジメントも見えてくるようになる。
 是非、今回の震災の教訓を生かしていっていただきたい。