【第62号】お客様離れは「甘え」から

1.基本動作のチェックはなされているか

 仕事柄、様々な企業に電話することは多いし、プライベートでもメール全盛の時代であっても電話する機会は多い。電話応対など基本中の基本だが、まだまだできていないと感じる。つい先日も、会社に“迷惑電話”の類とネットにも書かれている企業からセールスの電話があった。基本的には出ないので、電話応対した女性が居留守を使ってくれたが、「折り返させますか」の問いに、その電話の主は「いや、いないならいいッス」と言って電話は切ったそうだ。迷惑電話というぐらいだから、電話が繋がらないと「仕事」にならないはずなのに、この程度である。こんな対応だと取り次ぐ側もさらに防御が厳しくなってしまう。

2.小さい、田舎、固定客は言い訳にならない

 わが社は「小さい会社だから」とか「田舎にあるから」とか「固定客だけだから」という言い訳で、電話応対や挨拶などの基本動作に関心を払わない企業もある。しかし、これは間違いである。受ける側は小さくても、かけている側にはそれは何の関係もないことである。利用者は、大きい会社だろうが、小さい会社だろうが、必要があるから連絡を取る。その時の対応が“すべて”なのである。
 そして当然、他の会社と比較されてしまう。大丈夫だと思っているのは、当人たちだけである。「入り口」で否定されてしまっては、どんなに価格が安かろうが、どんなに品質が高かろうが、勝負にならない。勝負させてもらえない。

3.ファンを増やすと減らすでは2倍の格差に

 ファンを減らすだけならいい。しかし、そのファンはライバルのファンとなっていく。つまり、ライバルとはプラスマイナス合わせた倍の格差となっていく。
 電話は相手が見えないだけに、隙が生まれ易い。筆者の個人的な体験でも、妻が電話すると“女性だから”ということで軽くあしらわれても、筆者が電話すると“男性だから”ということでしっかりとした対応になる場合が何回かあった。相手からすると「どうせ詳しく言ってもわからないだろう」「決定権を持っていないから、大丈夫だろう」という甘えがあるのである。家族会議という存在を忘れているし、決定権を妻が持っている場合もある。自分たちの“思い込み”で、お客様を色分けして対応を変えているようでは、顧客満足度は上がらない。
 新入社員の教育も控えている。もう一度、ベテラン社員を含めて基本動作の再確認をしてみてはどうだろうか。戦いの土俵に上がらないうちに負けているのでは、業績向上はままならない。