【第82号】女性社員の活性化

1. 働く価値観は変化した

 筆者は男女雇用均等法世代の女性社員をほぼ同じ立場(入社数年目の社員という)で迎えた。女性の総合職が注目され、「わが社初の女性営業マン」「将来の幹部候補生」などと社内・社外を問わず説明されていた。しかし、一方で「結婚までの腰掛で十分」「ノー残業で有給休暇の完全消化」を公言する女性事務職も沢山いた。法律が変わっても、女性の働く価値観は大きく変えられない。それは総合職で入社した当時の社員何人もが、結局はその重圧に耐えられずに辞めていったことからも想像できる。
 それから20年以上が経過した。女性たちの働く価値観は変化している。やっと手にした正社員の立場。結婚しても、出産しても仕事を続けられる環境も整いつつある。結婚相手によっては、必然的に仕事を続けなくてはならないかもしれない。仕事へのモチベーションは20年前とは比べ物にならなくなっている。

2. 女性社員の活躍の場

 しかし、中小企業における女性の活躍の場はあまり広がっていない。女性は結婚したらすぐ辞める、出産して子どもができたら仕事にならない、という理由で総合職にもましてや管理職に登用することをまったく考えていない企業が多い。
 ここにきて、男女雇用均等法は男性の働く価値観をこれまでの女性の価値観に近づけているのかもしれない。主夫になって仕事を辞める男性も出てきたし、育児休暇を取ることも可能となった。性別による働き方の違いは無くなっている。働く意欲も変わらない。変わらなくなったお陰で、逆に女性の意欲の方が高くも見える。モチベーションが高い女性社員を活用しないのは企業にとってもマイナスである。

3. 受け皿づくり

 そのためには、社内に“受け皿”を作っておく必要がある。ここでいう「受け皿」とは、「女性社員が生き生きと働いているという実績」である。いきなり学卒の女性を採用してもうまくいかないことが多い。それは、女性の総合職社員の先輩も管理職もいないため、女性社員への対応がわからないからである。入ってきた女性社員も自分の役割がわからず、悩んでしまった場合も、相談できる女性社員が社内に存在しないとなると心細い。目標となる社員もいないことになり、孤立してしまう。
 まずは、女性事務員の活性化である。ルーティン業務に追われていて、処理に埋没している場合がある。QC活動や委員会活動などを通じて、日常業務以外での使命感を持たせることも必要である。