【第346号】無いものねだり

1.優秀な社員

 「人材は有限、能力は無限」とはよく言ったもので、会社の中で、何かをやろうとすると人材という壁に阻まれることは多い。人材育成を怠ってきた“つけ”は、後になって来る。欲しい時に、欲しいタイミングで手に入れることができないのである。だから、計画的に採用し、育成することが鍵となる。採用にも工夫をしない、教育にもお金や時間をかけない、定着率のための処遇にも手間をかけない、ではいつまでたっても人材不足のままである。「いい人いないかねぇ」という社長に限って、人への投資をしていない。採用は場当たり的で楽をしようとし、処遇は出来るだけ「コスト」をかけない、教育は利益が出た時、という発想では「優秀な社員」はいつまでたってもいないままとなる。

2.たっぷりの時間

 「忙しい」「時間がない」という人は多い。しかも、そういう人に限って、肝心な時にいない。儲かっていない。時間は「作る」ものであって、「与えられる」ものではない。平等に与えられる24時間をどう生かすか。それがその人の能力なのである。“時間が出来たら・・・”という前提で、「あれをやりたい」「これもやりたい」というものは、誰しも持っているだろう。しかし、その「時間が出来たら」というのは、間違い。正しくは、「時間を作って」なのである。振り返ってみて欲しい。「時間が出来たら」と考えていたものは、ほとんどが実現していないはずである。それは、時間というものは意識しなければ「作れない」からである。本当に時間を有効に使っている人は、「忙しい」なんて口にしないものだ。

3.潤沢な資金

 お金が余っていると思うかは、現在の所得や貯金とは関係がない。どんなに所得や貯蓄があっても、足りないと思う人は足りないと思うし、貧乏だと思っていても、お金は十分にあると思う人もいる。こればかりは、絶対的な基準がないからだ。本人がどう思うかしかない。だから、当然、時間と同じで「お金があれば」なんてことはない。お金は「作る」ものなのだ。「お金がないから教育できない」「お金がないから給料が上げられない」ではない。「教育するお金を作っていない」「払う給料に見合うお金を残していない」のである。原因と結果を間違うと、このように「無いものねだり」が続く。そして、目的が明確でないから、実現しない。知っているだけでは、価値がない。知識は、知恵に昇華していかなければならない。工夫を考えて、無いものねだりから脱却しよう。