【第324号】継続の力

1.浸透力

 この数日間で、2つの「継続の力」を見せつけられたので、紹介したい。ひとつは、墨田区の「中小企業振興策」。37年間の歴史がある取り組みである。民間と行政が一体となっての結果ではあるが、37年前の行政官の思いが素晴らしい。また、現状認識をしっかりと行っていたからその後の方針がぶれずに、正しい方向に進むことが出来た。民間の「参画型」にしたことが、自立性を生み、地域への浸透力を生み出した。
 もうひとつは、福島県中小企業家同友会の「夏まつり」の取り組みである。これも35年以上の実績があり、昨年は3000人の参加があった規模になっている。今年、初めて視察を兼ねて参加させていただいたのだが、家族連れだけでなく、若いカップルや高齢者夫婦などの姿も見られた。近くで毎年開催されるお祭りも開催時期をずらしてもらうなど、地域ですっかり認知されている。

2.発信力

 墨田区の取り組みは、ブランディングも完成している。プロジェクト自体が「グッドデザイン賞」を受賞している。取り組んでいる商品・食品のカタログを見ても、魅力的である。渋谷のロフトも取り上げるようになっているし、海外のバイヤーから注目されている商品も生まれている。参加企業への視察も増えているし、墨田区自体があちらこちらの経済団体から参考にされている。
 夏まつりも同友会の会員さんの発信から、取引先企業や地域へ広がっている。チラシもしっかりと作成されており、その熱気が伝わってくる(最初は、本当にこんな雰囲気なの?と疑う部分もあったが、実際に参加するとその盛り上がりにびっくり)。

3.集客力

 キッザニア・旅行会社との連携なども、うまいやり方だと感じた。東京スカイツリーが出来たのに合わせて、更にステップアップを図っている。初年度は、ディズニーランドの集客数を超えたスカイツリーとのコラボは今後も楽しみである。モノづくりという町の特徴にフォーカスして取り組んできて、工場を誘致しなくても、職人という「人材」が集まってくる。
 3000人以上が集まるイベントであれば、選択肢もどんどん広がる。チケットの価格設定だけでなく、ブースの種類も単なる飲食だけでなく、参加できない家族や知人への土産にもなる商品や、家族連れに配慮した遊びの要素、大抽選会だけでなく、協賛企業商品などのバザーなども平行して開催されている。
 いずれもこれから参加を検討している企業にとって魅力的な取り組みなのである。