【第323号】あなたには見えていますか

1.世の中で起こっていること

 参議院選挙が終わり、今は都知事選挙で大騒ぎになっている。天皇の生前退位の話しや憲法改正、米国の大統領選挙、英国のEU離脱。ニュースにはこと欠かない。いろいろな分析が新聞やTVなどで報道されているが、真実はあくまで1つである。皆さんには、どう見えているのだろうか。最近は、以前にも増してその「真実」が見えなくなっている。分厚いベールに包まれて、見せないようにされている。真実を見極めるためには、誰にとって有利で、不利なのか、誰がそうなることで得をするのか、を正しく把握することである。経済人でも政治家でも「表の顔」と「裏の顔」がある。今は、ネットで「公人」であれば、過去の経歴や言動、所属している団体などを調べることができる。自分が耳にしていることが「本音」なのか調べることができるのである。

2.身近な人の悩み事

 人は「フォーカス」しているものしか見えない。思い込みがあると、見えないし気づかないものだ。だから、身近な人であっても「この人はいつも元気だから、悩みなどないよ」「ヤツは鈍感だから、落ち込まないよ」などと決めつけていると、彼らが悩んでいたり、落ち込んでいることに気づくことができない。家族などは更に見えていないことが多い。家族が悩みを抱えていることを、受け入れることは辛いからである。
 家族や一緒に働いている同僚、部下の悩み事が見えているか、チェックして欲しい。悩みがない人はいない。「私は悩み事ないから」という人の悩みは、つまり「私の悩みは人に打ち明けたくないほど深刻だから、聞かない方がいいよ」というメッセージのことが多い。

3.見せられて信じ込まされるな

 ニュース番組、新聞、身近な人の元気な姿、目の前の現象をうっかり信じると、あとで「え、そうだったの?」となる。ニュースは真実を伝えない、目の前の姿は仮の姿(心配かけまいとする)と思っていれば、「本当はどうなのか?」を考えるようになる。世の中は、単純であるが、複雑化させることで、すぐには気づかないようになっていく。税金や法律のなんと複雑なことか(笑)。専門家でないとわからないようにすることで、専門家の価値を高めていく。商売の世界も、原理は単純なことが多い。売り手は簡単に見せていても、見る側が“勝手に”難しく解釈して、ものごとを複雑化していることもあるぐらいだ。売り手からすれば、嬉しい誤算でもある。人間は簡単にだまされるのである。