【第296号】東京体験

1.異国パワー

 久しぶりに東京でゆっくりする時間が取れたので、家族で3日間東京を堪能した。その時感じたことを書き留めておきたい。ひとつは、異国パワーである。泊まったホテルは、品川にあるホテルだったが、中国から来た団体客が目についた。ツアーなのだろう、ぶら下げていた紙袋は同じものだった。若い人たちの団体も多かった。また、家族連れも多く、みんなブランド品を身につけている。ホテルの案内表示や内部の店舗も、当然、そういう人たちを意識したものになっていた。国内のホテルにいるのか、海外のホテルにいるのか、わからないぐらいであった。電車の中でも、年末年始の休みで通勤客がいないこともあり、日本語以外の言葉を聞くことが多かった。

2.サービスの質

 飲食店や売店、書店などを巡ったが、サービスの質は“東京だから”というものは感じられなかった。逆に、とうとう東京は地方を下回ったのかな、と感じた。まず、明るさがない。気配りはそれなりにあるのだろうが、笑顔はないし、声も小さい(はっきり聞こえない)。味が良い店が多いのに、もったいない。逆に、味さえ良ければ、サービスの質で付加価値をつけなくてもお客様が来るという環境なのだろうか。パイ(市場)が大きい、東京ならでは、の現象かもしれない。もう一度、あのお店に行きたい、と感じるサービスがなかったのは、残念である。また、東京を離れて久しいので、電車の乗り換えや、目的地までに迷うことが多々あった。駅が広い、出口がいっぱいあるのに、案内板の数が足りないのである。オリンピックが心配である。

3.ビジネスモデル

 書店では、ある販売店の本店に行ってみた。確かに在庫数は多いが、あまり工夫されている様子がなく、売り場からワクワク感を感じることはなかった。楽しみにして行ったので、ちょっと残念。新刊本や専門書は多いのだが、本を手に取って読むスペースも少ない。
 もうひとつ寄ったところは、同じ敷地内に飲食できるコーナーがあったり、外のテラスでコーヒーが飲めたり、文具やCDなども購入できるところ。在庫数は少ないものの、コンセプトが面白く、店舗内をグルグル回っていて本当に楽しかった。多目的な空間になっていた。このビジネスモデルは、在庫数で勝負できない地方の書店などでも真似できるモデルではないだろうか。客層も、若い人から年配の客、そして店内のラウンジでは、外国人の客が半数を占めていた。もう一度行ってみたいお店である。