【第277号】試練

1.調子に乗っているとやってくる

 試練というものは、突然やってくる。しかし、それは人生の帳尻合わせで起こっているのではない。「何かに気づくべき出来事」として起こっているのである。「このまま行くと危険だよ」「調子に乗っていると危ないよ」ということだ。試練は確かに辛いし、来ない方がいいに決まっている。しかし、自動車のブレーキと同じで、スピード違反するとより危険だから、調整弁が働く。試練は“辛い”と思わず、「更に練ることを試されている」と捉える。もっと準備をして次に備えることを問われているのである。いつかはくぐり抜けることができる。定期的にやってくるものであり、それは次に備える準備期間なんだとも言える。

2.マイナスと捉えるかプラスと捉えるか

 前述のように捉えると、決してマイナスに捉える必要はないのである。起こった事象は落ち込むことやショックを受けることも多い。「クレームが起こる」「仕事が減る」「人間関係が悪化する」など、試練と捉える出来事は、それ自体は避けたいものばかりだ。しかし、それも捉え方次第となる。「クレームが起こったのは、この時期でよかった。もっと遅かったら更に多くのクレームが出た」「仕事が減ったので、次の商品開発の時間が取れるようになった」「人間関係が悪化したので、コミュニケーションの勉強をするきっかけをもらった」などと、プラスに変えることは可能だ。起こった出来事を、どうプラス発想に置き換えることができるか。これは全て見方次第なのである。マイナスに捉えていては、常にマイナスになるのだ。

3.次に生かす

 大事なのは、これを次に生かすことである。プラスに捉えることができれば、自分は何をすべきかを考えることができる。クレーム対応も「これから同じクレームが出ないためにどうするのか」に集中できる。仕事が減ってできた時間を「商品開発の時間」に無駄無く当てることができる。コミュニケーションを学ぶことで悪化した人間関係の修復に使えるだけでなく、新たな人間関係の構築にも使えるようになる。行動に移すことができれば、「試練を乗り越える」ことができるようになる。プラスに捉えることができた瞬間に、乗り越えているとも言える。それだけ、“前を向く姿勢”が大事なのだ。「ピンチはチャンス」とわかっていても、なかなかそうは割り切れない。それは、目の前の出来事に打ちのめされてしまうからだ。なぜ、それが起きたのか。プラス発想で置き換えてみよう。