【第310号】時間の前借り

1.仕事の波は必ずある

 どんな仕事であっても、忙しい時期(繁忙期)と暇な時期(閑散期)は訪れる。忙しくなると、「あーあ、1日48時間あればなぁ」と思うこともあるだろう。しかし、24時間以上にはならない。経営的には、常に一定の忙しさであることが、生産性の面からも、労務管理の面からも楽なのだが、なかなかそうもいかない。季節によっての変化、天気によっての変化、近隣のイベントや行事によっての変化だけでなく、流行に左右されたり、大きくは景気に左右される。最近のように技術革新が進むと、製品開発に伴うこともある。つまり身の回りには、そういった「要因」だらけであり、波がないことは「ありえない」と考えた方が正しいのである。

2.先を読む

 だから「先を読む」必要がある。この先、どうなるかを予測して、対策を練る。「人は増やす必要があるのか」「商品の仕入れは大丈夫か」「昨年と比較してどうなるのか」など確認しておくものはたくさんある。そして、ここが『タイムマネジメント』の重要部分となるのだ。先を読んで、準備を行うことが「時間の前借り」になる。忙しい時期にバタバタしないように、前倒しで準備し、仕事を進めておくのである。当日にならないと進まない仕事は、日常の忙しさには影響を与えない。忙しい、忙しいと言っている時の、負担は、仕事の段取りや準備不足の後始末に追われていることが多いのである。仕事ができる人をよく観察してみると、準備段階から違う。前倒しで取り組み、それが少ないミスにつながり、余計な後始末が発生しない。

3.メリハリをつける

 常に先を読み、時間を前借りしていると、自由になる時間が増えてくる。商売において、ずっと安定した需要にならないのと同じで、人間の集中力も安定して継続していくことは難しい。だから、ちゃんと休日を取って、リフレッシュする必要があるのである。前述した仕事の出来る人を思い出して欲しい。休日の過ごし方も違うはずである。趣味の時間に当てたり、友人たちとの交流の時間に使ったり、あるいは、積極的に自己研鑽のための時間に使ったりしている。仕事で、忙しい(密度が濃い)・暇(密度が薄い)があるならば、プライベートの時間の使い方にも、波があってもよい。常にのんびりしているのも良くないし、常に予定を詰め込むのも良くない。どうやってメリハリを付けるのか。時間の使い方は難しいのだが、うまく使えるとライバルに差をつけられるだけでなく、人生も充実してくる。