【第106号】マナー教育

1. CSまでの道のり

 これまで一切マナー教育をやっていなかった企業の社員に研修を行うと、どうしても目先の対策が中心となる。何のためにマナーの向上をするのか、の視点がどうしても薄れてしまうのだ。普段、社長に怒られているから、事務員から指摘されているから、などの“足元”ばかりを見てしまう。
 それよりもお客様からどう見られているか、が重要なのである。確かにタバコの始末であったり、身だしなみなどは大切な事項である。しかし、それを守ったらお客様からの見る目が変わるのか、満足度が高まるのか、の議論が必要となる。
 お客様の求めるレベルは高くなることはあっても、低くなることはない。「顧客満足度」という言葉に気付き、その視点で自分たちの行動品質を上げられるかが大事なことである。

2. 何に気付かせるか

 行動、態度、姿勢はいつどこで見られているかわからない。まず、お客様の求めているレベルを知ることである。高い高いというだけでは、社員は具体的に知ることができない。どういう行動が必要なのか、どういう態度でいるべきなのか、どういう姿勢が望ましいのか、まず具体的に理解することである。
 そして、自分たちが提供しているサービスのどこが認められていることなのか、を把握する。だから、そこが崩れるとクレームに繋がり易いということを理解させる。
 また、何がクレームの“火種”なのかも知ってもらう。CS教育をしっかりとやってきていない会社はここが弱い。クレームもスタートは「問い合わせ」なのである。「いつ届くのか」「いつ返事があるのか」「どう説明したら理解してくれるのか」など“不安”が解消されていないことから始まるのである。

3. 継続的な取り組み

 一過性の教育研修ではレベルアップは図れない。顧客満足アップへの取り組みは継続的に、習慣化するまで行うことが必要となる。積み上げていくことで、何に取り組むべきなのかが明確化してくる。日々のお客様からの要望に対して、自分が、そして会社がどのように対応することが望ましいのか、答えを探し続けることが求められる。
 個人差があるため、組織として対応することが難しいテーマもある。それをどのようにレベルアップしていくか。まず、個人ごとのテーマであっても、取り組んでいるものを見える化し、共有化していくことが必要である。セルフチェックでは、CSのレベルは上がらない。組織として、みんなで取り組んでいるという風土を作っていくことである。組織の力が、お客様に伝わり、評価に繋がるのである。