【305号】素直さ

1.抜け出す力

 「素直」であることは、大きな力を生み出す。その幾つかを筆者の経験からまとめてみる。ひとつは、今いる場所から「抜け出す」力になるということである。何か違和感を感じる。何か気になる。日頃、新しいものを見たり聞いたりする中で、経験した方もおられることと思う。その時、「素直」でいると、それを「受け入れる」ことができる。つまり、実際に体験してみよう、もっと詳しく知ってみよう、という行動につながるのだ。チャレンジしていくためには、この「素直さ」が必要になる。「失敗したらどうしよう」「効果がなかったらムダになる」という心配は、受け入れていると出て来ない。気持ちは、とにかく「実践」、に向いているからだ。一歩踏み出すことができるのである。

2.学ぶ力

 「受け入れる」ことができると、これまで見えていなかったこと、聞こえていなかったことが大量に入ってくるようになる。「そうだったんだ」と気づくようになる。それが「学ぶ力」なのだ。素直でないと、先入観などの思い込みが「ブロック」になる。トライしてみようとも、飛び込んでみようとも思わない。「どうせ・・・」が口癖に成っている人は、そういう意味で「素直」になれていないのだ。素直な人間は、居心地の悪さを感じていても、自分がいるべき場所かどうか疑問に思っていても、しっかりとチャレンジしてくる。好奇心が勝るのである。行動力や挑戦力の元になっているのは、その人のもっている「素直さ」なのである。それが学ぶ力になる。素直な人間は、吸収力も高い。

3.成長の原動力

 よく、学ぶため、成長のためには、「アホになれ」「バカになれ」と言われるが、それは、先入観や思い込みをまずなくす必要があるからだ。そして、バカなことをする純粋さ、今を楽しめる純粋さが、素直さであり、それが成長するための原動力になるのだ。恥をかくから出来ない、やりたくない、と尻込みしていては、成長できない。素直に受け入れて、チャレンジする。筆者も、「頼まれごとは、試されごと」と依頼されたことは、素直に受けている。みんなが嫌がる役割だとか、打ち合わせも積極的に参加している。少しでもお役に立つことを、と思って行動している。1年、1年、自分の変化と成長を感じているが、それはまず「素直」であることから始まった。自分では、気づいていなかったが、純粋に知りたい、覗いてみたいと思ったことだった。それが様々なものを「受け入れる」ことに繋がっていったのだ。