【第330号】優先順位

1.価値判断で決まる

 様々な団体の役員をやっていると、いろいろな事を感じる。特に、その経営者の価値判断である。何を優先しているのか、それがよくわかる。月1回の会合への参加、打ち合わせへの参加、忙しいことを理由に参加してこない。しかし、あるところで同じ団体の集まりに参加していることがわかったりする。普段は、あまり発言しないのに、その集まりでは積極的に発言していたというのだ。つまり、「忙しい」ではないのだ。興味がない、もしくは、参加することに意味を感じていないということである。これは「良い」「悪い」ではなく、そういう価値判断であるということである。会合を主催したり、勉強会を企画する側としては、考えなくてはいけないことである。

2.業績と時間

 ただ「忙しい」を理由に、参加を断られると、「あなたたちみたいに暇じゃないから」とも聞こえる。皮肉ではないのだろうが、役員を引き受けている人の大半は、忙しい人が多い。時間をやりくりしているだけなのである。逆に、「忙しい」を理由にしている人ほど、時間管理つまり行動管理ができておらず、業績が不安定な場合が多い。月1回の会合、あるお客様と商談していると思えば、確保できる。商談の100%が売上に結びつくわけではない。そうでない商談もあるはずである。会合、と捉えるから優先順位が下がる。ひとつの商談と捉えれば、参加できるのである。前もって予定が決まっている会合を欠席する人は、普段の商談でも損得だけで考えている可能性が高い。一営業マンならそれでも良いだろうが、経営者という立場ではどうだろうか。

3.責任感と自覚

 「売上も一人前でないのに、外部団体の役員活動などに時間は割けない」という意見もあるだろう。でも、それは、一企業の社会的責任を果たしているといえるだろうか。様々なお客様の支え、地域社会の支えがあって成り立っているのが、企業ではないだろうか。小さいから、まだ一人前でないから、まだ起業したばかりだから、で良いのだろうか。与えれば、必ず返ってくる。それが、様々な団体の役員だと筆者は考えている。いやいや引き受けた役員かもしれない。しかし、一旦、引き受けた以上、責任を持ってやりとげるのが経営者である。役員となったのに、いつまでも自覚が持てないのは、甘え以外のなにものでもない。また、自分以外の役員もお客様のひとりでもある。協力してくれないで甘えている経営者の会社のお得意様になるだろうか。