【第321号】社員教育の必要性

1.第一ボタン

 接客の場面での対応の劣化が止まらない。びっくりするような対応に遭遇することも多い。筆者がある商品を購入した時のことである。慣れていないのか、手つきがおぼつかない。ここまでは仕方ないかな、と見ていたが、レジの対応で驚いた。お客様から頂いた代金を、すぐにレジの中に入れてしまったのだ。お金のやり取りはトラブルになりやすい。よって、お客様がおつりを頂くまで目に見えるところに残しておくのが、基本である。ある飲食店に遅めの昼食を取ろうと入った際のことである。外の看板には、営業時間「11時〜22時」となっている。看板も「営業中」となっている。のれんも出ている。「ランチタイム、終わっていないな」と思って入ったら、店員さんに「ラストオーダー終わっています」「え、外の営業時間は・・・」「途中に休憩が入るんです」。これはいただけない。営業時間は正確に記すべきだし、入店させないのなら「支度中」の看板に変えるべきである。

2.手が回らない

 スタッフの教育が終わらない(もしくは実施しない)ままに、お店をオープンしてしまう、現地に配属してしまう。オープンした途端に、クレームを発生させたり、悪い印象を持たれれば、次の来店はない。せっかく新規開業して、興味を持って来店していただいた新規客をいきなり失うことになるのだ。多くの企業が数年持たずに倒産していく(5年存続率は14.3%、10年存続率は6.3%!)。起業はできても、存続できない企業が多数なのだ。起業に関する補助金、助成金が充実しており、その取得ノウハウを教えてくれるところもあるので、起業することはできる。しかし、起業した企業を継続して経営していく準備ができていない。特に人材投資が不十分なのである。

3.何を教えるべきか

 「自分だけだからいいだろう」「数名だからいいだろう」「経験者だから大丈夫だろう」ではない。筆者はそれで失敗してきている事例を多く見て来ている。学卒者の一般常識(マナーなどに関する)の欠如や、社会経験の不足(アルバイトなど)により、社会に出て来たタイミングで教えることは増えてきている。中途採用でも、前勤めていた企業でしっかりと教育されていないケースがほとんどである。びっくりするぐらい基本に遡って対応するしかない。接客業で教えるべきは「お客様目線」である。お客様からみて、どうなのか、が重要となる。自分たちはこう思っていた、こういうつもりだった、では通用しない。