【第302号】何が壊れているのか

1.画面の向こう側

 最近、新聞やテレビを賑わしている事件を見聞きするにつれ、心が痛むものが多い。芸能界の事件からスポーツ会、そして政界。一体なにが壊れているのだろうか。周辺を見渡しても、景気が良くならなくて、苦しんでいる企業は多い。給与が上がらない、物価が上がる、社会保障が上がる、などで生活が楽にならないと思っている人も多い。そんな状況において、本当に大切なこと、考えることは何なのか。確かに社会の歪んだ現象を表しているのかもしれない。しかし、我々が考えなくてはいけないのは、もっと生活を良くするためには、もっと苦しんでいる人を少なくするためには、であって、他人の夫婦のもめ事や有名人の人生の転落物語ではない。

2.誰を裏切っているのか

 彼らが裏切っているのと同時に、我々を裏切っている人たちがいる。だから、生活が良くならない、苦しんでいる人が少なくならない。来月で5年になる震災被災地に、今年は訪れる予定にしている。彼らの暮らしは良くなっていないし、環境も変わっていない。被災時よりもひどくなっているケースもある。他人(有名人、政治家)の生活よりも、我々の周りの弱者に目をやるべきではないか。自分たちにできることは何か、がますます問われている時代だ。ボランティア的なことだけでなく、ビジネスの世界でも同じ。常に、何が求められるのか、と自分たちには何ができるのか、を結びつけて考える。それが現実的に、そしてスピーディにやれることなのだ。歯車が狂っていると、生活が良くならない、業績が良くならないのである。

3.お天道さんは見ている

 「人をだます」「裏切る」という行為は長続きしない。今でも起きることだが、安過ぎてあとで「あれは手抜きだった」「偽物だった」なんてことがある。いつかはバレるのである。そしてそうして得た利益は、身を滅ぼす。正しく、身の丈にあった考え方、商売のやり方が重要なのだ。一攫千金を狙って、人をだます、だまされるが犯罪になる。自分が果たすべき役割から逃れても、結局はうまくいかない。以前もこのコラムで「本質」について触れたが、それはビジネスのそして人生の原点でもある。商売がうまくいかない、人生がうまくいかない、という時は、自分のやり方、生き方の誠実さを振り返ってみる。すると気付くことがあるはずだ。お客様を裏切っていては、業績は上がらない。仲間を裏切っていては人間関係は良くならない。自分を常に律することだ。