【第301号】迷わないために

1.なぜ「後で」なのか

 やらなければならない事がない人はいないだろう。常に「あれをやろう」「これもやらなくちゃ」になっている(これは、働いている人も、働いていない人もみんなあること)。それを、「やらなきゃ」と思った瞬間にやっている人は少ない。「後でやるか」「時間が空いたら」なんて先延ばししている人が多い。なぜ後回しになってしまうのか。ひとつには、必要な時間がわからないため、今、考えている予定が変わってしまうことを恐れるためだ。すぐに終わると思っていたのに、思った以上に時間がかかり、その後の予定が大きく狂ってしまうと困ってしまう。また、ルーティンでないことは、やり方が明確になっていなかったり、逆にルーティンになっているものは、いつでも出来るという理由で先延ばしになる。

2.過去を振り返ってみる

 では、過去を振り返ってみよう。すぐにやって後悔したことと、後回しにしてあるいは、結局やらなかったことで後悔したこと、どちらが多いだろうか。きっと、すぐにやって後悔したことの方が圧倒的に少ない、もしかしたら思い出せないぐらい少ないはずだ。逆に、先延ばしにしたり、やらなかったことで後悔したことはたくさん出てくる。ということは、すぐにやらないで放置することはリスクが高いとも言える。ほとんどメリットがないことなのだ。やってみて、思った以上に時間がかかったことと、思った以上に時間がかからなかったことを比べても、すぐに終わったことの方が多いと思う。人間はやりもしないことを心配するものだ。しかし、取りかかってみれば、その心配は不要だったことに気づく。

3.評価を気にしない

 もうひとつ「後にしよう」、と先延ばしにする理由として、「他人の評価」が気になることがある。「こんなことを言ったらバカにされるかも」「こんなことをやったら笑われるかも」という思いだが、これもほとんどが妄想にすぎない。人はそんなに他人の言動を気にしていないし、いちいち評価もしていない。自分が勝手に想像しているに過ぎない。自分が本当に気に入った洋服を着てみて、それをどれだけの人に「似合ってるね」と言ってもらえるだろう。買ったばかりの靴や時計をしていて、それ新品とわかってくれるだろう。期待外れに終わることが多い。それでも、自分が満足しているから気にならない。逆の場合は、気になって仕方ないのだが、多くは取り越し苦労だ。今やれることに集中していれば、迷うことはない。