【第295号】接客業の難しさ

1.第一ボタン

 複数人数で、飲食店や衣料店に入っていると気づかないことが、一人だと目についたり、気になったりするものだ。先日も、ある飲食店に入ったときのこと。もちろん、元気よく「いらっしゃいませ」というのは当然である。ここはクリアできていた。しかし、案内がまずい。一人なので、カウンター席に座る事はわかっていたが、しっかりと指示(筆者に対して)できなかったのだ。どこでもいいのかと思って、座ろうとすると、慌てて「こちらに座ってください」。まぁ、カチンときますね(笑)。最初から「こちらでよろしいですか」と案内すれば良かったのだ。このスタートでつまずくと、なかなか挽回することは難しい。「この店はなっていない。不愉快だ」というイメージが出来上がっているからだ。

2.チームプレー

 チームプレーも大事になる。料理が美味しかったり、オーダーを取る時の接客が良ければ挽回可能である。しかし、今のお店は分業システムがしっかりしている。目の前の店員にお願いします、と言っても「○○さん、オーダーです!」「・・・」ですよね。まず、あなたが返事しなさいよ、になる。あなたが聞いて、オーダー担当者に伝える。もしくは、「少々お待ちくださいね」くらいは必要。誰がどう分担していようが、それはお店の都合でしかない。また、飲み物の減り具合、料理の進み具合をフロアーにいる担当者は声をかけて、調理担当者と連携を図る。食べるのが早ければ、提供を早くする、遅ければ、提供をゆっくりにする。混んでいたら無理と思うかもしれないが、筆者は、学生時代のファミリーレストランのバイト時代に実践していたから、可能なのである。

3.気づきのレベルアップ

 なぜ、学生でもできたのか。最初は、消極的な思いからだった。「どうしたら、お客様のイライラ視線から解放されるか」「クレームの発生を未然に防げるか」だった。学生なので、人の不信な信号に慣れていない。怖かったのだ。それから逃れるために、どうすればいいのか、知恵を絞っていた。そこから、「料理が提供されるまでの間、気持ちよく過ごしてもらうには、どうすればいいのか」「食事中、気持ちよく過ごしてもらうにはどうしたらいいのか」「食事後・・・」に変わっていった。すると、お客様の気持ちを読み、“先手”で、手を打つことが一番の対策だとわかったのだ。「コーヒーのおかわり」と言われる前に、「コーヒーいかがですか」ときく。これは全てに通じるポイントである。