【第293号】1年の振返り

1.何が起きているのか

 筆者自身は、退職・起業と大きな節目のあった年であったが、みなさんのこの1年はどうだっただろうか。世の中の様々な出来事に合わせて、職場でも個人的にもいろいろあったことと思う。それをどのように捉えるのか、どのように解釈するのか。それで、来年以降が大きく変わってくる。このコラムでも何回か触れているが、新聞やテレビは事実の一面しか伝えないし、その伝え方も“意図を持って”変えている。つまり、受け取る方が、心して出来事を分析して、自分なりに解釈していかなければならない。今年の経済の流れをみると、中小企業は政府の施策や法令などに左右されることなく、原点に立ち戻ってビジネスを見直す時期に来ている。

2.真の姿を見ようとすること

 本来の経済の推進力とも言えるGDPが伸びない中で、生活必需品の価格上昇、実質賃金の低下が続いている。復興需要やオリンピック特需もあと数年で終わる。TPPが批准されれば、大手企業は輸出の恩恵があっても、中小企業は外国勢の攻勢にさらされる可能性が高い。今のこのタイミングでしっかりと対応できる体質に変えておかないといけない。
 そのためには、自分から調べることである。前述の通り、新聞もテレビも真実を伝えない。震災の際、政府は“国民の動揺を配慮して放射能の情報”を伝達しなかったと堂々と言っている。つまり、都合の悪いことは発表されないのである。自分で調べれば、現在の景気が回復基調にあるとか、横ばいではないことはわかるはずである。消費力が向上していないことは、中小零細企業にとって致命的なのである。

3.諦め≠行動しない

 自分ひとりが・・・と思って諦めてしまうかもしれない。でも、社員ひとりひとりが「何ができるだろうか?」「今、すべきことは何だろうか」と考えることが重要なのである。無力感を感じるかもしれない。しかし、行動を起こさないと何も変わらない。海外で起きている事も徐々に人ごとではなくなってきている。ここに来てガソリンの価格のように海外の出来事がすぐに日本国内の価格に反映されるものも増えてきている。個人的なことも、会社という組織に関係することも、政治的なことも、経済的なことも自分で情報を収集し、行動することが求められる。この2点ができていない場合が本当に多い。全て「人任せ」になっている。誰かが教えてくれるだろう、誰かがやってくるだろう、ではないのである。来年は、傍観者では済まされない年とも言える。