【第289号】『命』について

1.命とは

 命について考えさせられる映画を観たり、講演会に行く機会があったので、今回は「命」について触れたいと思う。「生きる」ってことは何だろう。自分や大切な人、周りにいる人だけでなく、動物も植物も昆虫も命がある。そして、それを紡いでいっている。人間は、それらの命を毎日頂く形で自分たちの命をつないでいっている。だから「罪深い」とも言われる。それを意識することはほとんどない。今、料理をする時、食事を頂く前、食事をしたあとに、感謝の言葉を口にするようにしている。そうすることで、食材を作った方へ、そして食材自身に感謝すると、本当に食事が美味しくなる。「ビタミン愛」と呼ばれているが、これに勝るものはないのだろう。命は育てられ、それをいただくことで、育まれていく。

2.命の大切さ

 だからこそ、大切なものなのだ。祖末にしてはならない。それは、自分たちだけではない。今ほど、食の大切が言われている時代はないのではないだろうか。放射能の問題、農薬の問題、肥料の問題など私たちの食べ物は本当に危険にさらされている。この夏、農家さんから直接買ったり、農家として頑張っている人の話しを聴く機会が多かったことも、意識するようになった理由かもしれない。そして、これらは自分たち本人だけでなく、将来生まれてくる子供たちにも大きな影響を与える。しかし、経済的な理由で、命を縮めている人は多い。愛情を注げば、育てている野菜も美味しくなる。本当に必要なのは、何なのかを改めて考えるべきである。

3.命がけですること

 与えられた命を今、何に使っているだろうか。どう使っているだろうか。命がけ、というと大げさかもしれないが、そう考えて生きていかなくてはいけないのではないだろうか。筆者の師匠として何度も紹介させていただいている作家でコピーライターのひすいこたろう氏にこんな言葉を教えていただいたことがある。「今日という1日は、昨日亡くなった人が本当に生きたかった1日である」。そんな1日を真剣に生きなくて、意味がある人生と言えるのだろうか。何をしたらいいのか、すべきなのか、明確になっていないとしたら、命がけですることは見つからない。大切な人を失う経験をした人は、命の重さを認識する。でも、その前に気づいていて欲しい。私たちは多くの命に囲まれて生きている。そして、その命とどう向き合うかで人生が大きく変わることになる。その延長に、仕事があるのではないだろうか。