【第284号】発信力を磨く

1.眠る資源

 先日、初めて佐渡に行く機会があった。ガイドブックを見ながらではなく、佐渡に詳しい方に案内していただきながらの島巡りだったので、穴場のようなところも訪れる機会があった。天気に恵まれ、本当に充実した2日間となった。まず驚いたのは、その自然の豊さ。海の綺麗さはすぐそこの魚がよく見えるレベル。庭や遺跡などもきれいに管理されていて、感動する姿を伝えていた。そして、佐渡といえば、豊富な魚介類を食べさせてくれるというイメージだが、案内していただいたのは、美味しいパンと洋食、フレンチ料理を食べられるレストランや宿だった。東京の高級レストランと比較しても遜色のない味と技術も感動ものだった。しかし、これらの観光資源をどれだけの人が知っているだろう。

2.誰が伝えているのか

 ガイドブックには載っていない、もちろん新潟の人で佐渡に観光に行った事がある人からも聞いたことがない。佐渡出身の人はどうなのだろう。しっかりと、伝えているのだろうか。最近できたお店や宿もあるので、島を離れて年月が経っている人は、知らないのかもしれない。誰かが伝えていかないと、島をこれから訪れる人は知らないまま島に来て、そして帰る。今、佐渡産の魚を食べさせてくれるお店は多い。魚介類だけを海を見ながら食べるのであれば、佐渡まで来る必要はない。佐渡に来るだけの価値があるものを、誰が伝えているのだろう。今回の旅の中で訪れた茶屋には、絞りたてのにんじんジュースを飲ませてくれるところがあった。絞りたてで、にんじんの甘みがたっぷり。それで200円。手作りのケーキが150円。これだけでも、このお店に来る価値がある。

3.自分たちの発想に留まらない

 「発信力」は「こんなの当たり前」の考え方から飛び出すことが必要。自分たちには当たり前であっても、第三者からみたら価値が高いものは、多い。「ウリ」の基準も違う。作っている本人は、材料が地元ですぐ調達できるから作っている、というだけでも、価格も安く味も最高という場合は多い。「意外性」があればあるほど、感動を生む。そこに感動という「心」に訴えるものがあれば、必ずその人はファンになり、リピーターになっていく。今回の筆者の旅は本当に多くの感動を得ることができた。そして地元の温かいおもてなしや優しさにも触れることができた。こういう交流も大事になる。観光客はなかなか地元の人たちと触れ合う機会がない。そこで生活している人たちの想いを感じることができない。まだまだ可能性が高いスポットだ。