【第274号】最も身近な人間とのコミュニケーション

1.一番高いハードル

 意外とコミュニケーションをスムーズに取るのが難しいのが、家族などの身内なのである。これは、コーチングやカウンセリングを仕事にしている人の多くが話していることでもある。つまり一番高いハードルだ。しかし気づかない人が多い。これは身近な人とのコミュニケーションを大事にしていないのである。「言わなくてもわかってくれている」「家族同士だから通じていないはずはないだろう」になっているのである。また「恥ずかしくて言えない」というのも大きな理由である。家族に「ありがとう」が言えないケースは多い。妻がお茶を入れてくれても「ありがとう」がない。夫が給料明細を渡しても「ご苦労様、ありがとう」がない。まずは「ありがとう」から初めてみることだ。

2.協力や期待をしない?

 一番がっかりしたり、ショックを受けたりするのは「期待通りにならなかった」時や「協力してくれなかった」時だ。極端な話し、「当てにしない」ことが一番すっきりする。妻が夫にイライラする理由の代表が、家事を手伝ってくれないことだ。これも「家事を手伝ってくれる」ことを期待するからイライラする。「やってくれないもの」と思っていると、やってくれなくてもイライラしないし、やってもらえたら大感激になる(期待していると、当たり前だから感激は少ない)。これも良く言われることだが「人に本を貸す時は、あげたものだと思え」。これも同じである。返ってくることを期待しない、ということ(貸した本はなかなか返ってこない。貸し借りが日常化している人は、誰から借りたかもわからず、それを人に貸したりする 笑)。

3.相手ではなく自分が

 身内であっても「相手がやってくれない」「相手が理解してくれない」では、通じない。「自分がまだやり足りない」「自分が相手を理解させられていない」なのである。「鏡の法則」を思い出すことだ。相手が怒っているのは、自分も機嫌が悪いということ。相手がイライラしているのは自分がイライラしているということ。相手が冷静に話しを聞いてくれないのは、自分が冷静に話しを聞いてくれないから、なのである。常に「相手」ではなく、「自分」が、と考える。筆者は常に「give & give」ということを言うが、「感謝」の気持ちを持って自分ができることを続けていれば、いつかは思いが通じる。お客様でできたら、同僚に、同僚でできたら家族に実践してみる。その効果に驚くだろう。