【第335号】自分の見せ方

1.びっくりの自己紹介

 先日、ある経済団体の会合で、面白い自己紹介される方がいた。内容は、「海外取引が多く、年商○○億円の会社です」というような、会社の大きさをことさらに強調されていた。懇親会においても、大量の品物を海外のどこに運ぶだの、今年の忘年会は千人規模だの、という“大きさ”を力説していた。その方は、会合に顔を出すのは、初めてだったらしく、周りの方々は珍しそうに話しを聞いていた。でも、筆者は違和感を感じずにはいられなかった。その方は、「初めて」の参加なのに、周囲の人に質問しないのである。まるで、「関心がない」かのように、話しかけない。ひたすら自分の会社のこと、自分の業界のこと、自分の主張を話し続けていた。当然のことながら、周囲が話しを聞いていたのは、最初の10分ぐらい。そのあとは、周囲から浮いていた。

2.自己主張も大切だが

 自分がどんな人間なのか、自分の勤めている会社がどんな会社なのか、知ってもらうことは大切だ。それには、PRしなければならないので、主張することも大切だ。しかし、それは周囲との協調の中で生まれる。皆さんのために、どんなことができる会社なのか、周囲にどれだけ喜ばれているのか、を伝えないと、関係が生まれてこない。「ふーん」で終わってしまう。先ほどの方が、最後浮いてしまったのも、周りからすると最後には、「だから何?」となってしまう。自己主張するばかりの人は、自分を大きく見せたがる人が多い。見くびられることへの恐怖が大き過ぎるのだ。この方の話しも、そんな部分が多かった。今の会社の前は、○○会社の役員だった、などの話しもあったが、それも「だから何?」になってしまう。

3.相手からの評価を意識しない

 自分を表現する時に、一番に邪魔になるのが、「相手から嫌われないかな?」という思いだ。相手から良いと思われたら、何か良くなるのか?悪いと思われたら、悪くなるのか?ということである。周囲の評価の度に自分を変えようとしたら、自分など無くなってしまう。それよりも、相手のことに関心を持つこと、話しを聞く姿勢が必要である。本当に器の大きい人間は、すぐにわかるものである。すぐにわからなくても、話しを聞いていればなんとなく感じる。ばれてしまうのである。ならば、ことさら大きく見せようとする必要はない。等身大で向き合うことが重要なのである。スタート時点の見せ方で、その人への印象が決まってしまう。マイナスからスタートしないようにしたい。